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山村研究室 IoMグループのページにようこそ

学生、研究員を募集中 
2021年4月より小宮は 海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門 に移籍しました。
ポスドク研究員(年俸525万円、任期:令和6年度末まで)を募集予定です!
問い合わせはお気軽にこちらまでご連絡ください。

2021年4月以降の活動はこちら(クリックしてください)

IoMグループってなに?

「生命を対象としたシステム科学」なら何でもありの、メタな学問レベルで集う 東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 知能情報コース 山村研究室 に所属しています。
研究テーマの設定は放任主義が過ぎるので(笑)、未知の領域を切り拓きたい学生さんにはお薦めの研究室です。スパコン実験もウェット実験もできる環境ですよ。

そんななか、わたしたちは分子ロボットのコア技術である「動的DNAナノテクノロジー」をツールとして、電子機器にはできない分子レベルの操作による生物学基礎研究と、医療・生態学向け検査技術への応用、そして分子の世界である “生物によるものつくり” と情報の世界である “デジタル技術がものをつなぐ” IoT (Internet of Things) を接続した、未踏の分子デジタルファブリケーション「IoM (Internet of Molecules)」の実現に取り組むグループです。

分子ロボット組立工場

    【 研究テーマの概要 】

  1. 遺伝暗号の起源解明と、第二の生命の起源を検証するウェット人工生命(地球生命型分子ロボット)研究のためのDNAコンピューティング反応開発
  2. 開発した反応の微生物分析・医療検査や遺伝子合成への応用
  3. ナノメートル精度の制御で機能分子の生産を可能にするDNAマニピュレータ(産業用分子ロボット)反応の開発

近い将来に1と3の反応を統合し、天然を超える生命機能を細胞外で構築する構成的アプローチの生物学研究(ポスト合成生物学)をデジタルファブリケーションで実現します。

科学を社会に位置づける
わたしたちは基礎研究こそが学術と産業双方の土台であると考えます。
“面白い”に突き動かされ、“ワクワクする”が技術や価値を生み出す科学研究の生態系を社会のなかで維持するために、ELSI (Ethical, Legal and Social Issues) や RRI (Responsible Research and Innovation) を重視した分子ロボット倫理原則の作成、科学コミュニケーションを双方向化するコンテンツのクリエイターとの共同製作、分子ロボットを応用する農業現場で未来像を共創する対話活動を行っています。

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過去のニュース

小宮が、第35回Tonomachi Cafeで講演します(2021.3.11)

小宮が、バイオインダストリー奨励賞受賞者セミナー ~がん診断の最前線~ で招待講演しました(2021.2.8)

小宮が、科研費・学術変革領域(A)「分子サイバネティクス」のキックオフシンポジウムでELSI関連の活動について講演しました。(2020.12.20)

“物質観や生命観の革新”に挑むわたしたちの研究提案「分子サイバネティクス」が科研費・学術変革領域(A)に採択されました♫
新学術領域「分子ロボティクス(平成24〜28年度)」から3年の在野期間を経ての再降臨。ブラックボックスのない生命システムを創る“ポスト合成生物学”な研究を推進し、細胞絶対主義の生命観を変革させていただきます。(2020.12.10)

奨励賞集合写真

小宮が、BioJapan2020で行われた第4回「バイオインダストリー大賞」「バイオインダストリー奨励賞」表彰式・受賞記念講演会で講演しました。
当日のもようはこちら
奨励賞受賞者紹介が「バイオサイエンスとインダストリー誌」Vol. 78, No. 6に掲載されました。
(2020.12.6)

小宮が、第4回分子ロボティクス年次大会の分子ロボット倫理シンポジウムで招待講演しました。(2020.11.13)

修士二年の佐藤 駿太郎が、CBI学会2020年大会で口頭発表しました。
(2020.11.3)

修士二年の佐藤 駿太郎が、第58回日本生物物理学会年会でオンラインポスター発表しました。
(2020.10.25)

小宮が、一般財団法人バイオインダストリー協会の第4回「バイオインダストリー奨励賞」を受賞しました。
ニュースリリースはこちら
東工大ニュースはこちら
(2020.8.24)

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情報と物質をつなぎ、生命を生み出す素材、DNA

ボトムアップ構築の標準素材としてのDNA

DNAは4種の構成単位が連結した、方向性のある直鎖状のポリマー分子です。デオキシヌクレオチドと呼ばれる構成単位はリン酸と五炭糖(デオキシリボース)、そして塩基からできていて、塩基にはアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)の4種類があります。どの塩基を持つ構成単位が、何個、どの順で結合したかによって、厳密にはその物性にもちがいがありますが、生命現象のレベルでみた場合、タンパク質が個々のアミノ酸配列に対応して様々な酵素機能を持つのと比べると、DNAは基本的に塩基配列による大きな物性のちがいはありません(注1)。そのため、個々の酵素に名前があるのとは対照的に、DNAはまとめてDNAという総称で呼ばれます。これは、塩基配列ごとに個別の物性を考慮しなくてよいことを意味しています。つまり、DNAは配列によらず共通の性質を持っており、配列情報と物性を切り離して考えることができる、分子の世界には珍しい“標準化された素材”であるといえます。

DNAの大きな特徴として、AとT、GとCの塩基のあいだでそれぞれ水素結合を形成するという性質があります。この性質によって、適当な塩基の並びを持った二本のDNA鎖が互いに逆向きに結合して安定化し、比較的硬いロッド状の構造である二重らせんを形成します。このようなぴったりと結合する配列どうしを互いに相補的であると言います。つまり、DNAは相補的な配列を設計することで、どの相手と結合するかという“反応特異性がプログラムできる分子”だということです。また、二重らせんの形成は2分子のDNAのあいだに限った反応ではなく、1つの分子内にある部分的な相補配列のあいだでも起こりますし、複数の二重らせんをDNAが交叉しながら形成することもできます。したがって、適切に設計した配列を用いれば、様々な二次元、三次元の構造を、DNA鎖を編み上げるようにして作ることができます。相補配列を持つDNAどうしの結合は溶液中で自発的に起きるので、ナノスケールの精密な構造体が“DNAを混ぜるだけでひとりでに組み上がる”わけです。このようにして、膨大な数の構造体を同時並列に構築することができます。

注1.デオキシリボザイムと呼ばれる酵素活性を持つ一群のDNAなど、例外は存在します。

分子の動きがプログラムできるDNA

DNAの配列を設計して望みの構造体を形成する技術は「構造DNAナノテクノロジー」と呼ばれ、近年盛んに研究されています。DNAオリガミ、DNAタイルといったこれらの技術は、平衡系における最安定な構造となるようにDNAの配列を設計することで、意図した超分子構造体をボトムアップに構築する技術です。IoMではさらに、配列でプログラムした結合特異性と非平衡系としての流れが生まれる機構とを組み合わせることで、DNAの構造体を1回限り形成するだけでなく、多段階に構造体が動いてタスクを実行する「動的DNAナノテクノロジー」分野を開拓してきました。

われわれは動的DNAナノテクノロジーを、「DNAなどの生体分子を用いて“生物の特徴をとらえたシステム”を構築する研究」と考えています。規則的な構造変化を多段階に行って、DNAが歩いたり計算したりします。このような研究によって、従来のテクノロジーではつくることができないナノスケールの分子マシンや、電子コンピュータとは異なる能力を持つ分子コンピュータを創り出すことができます。生物のように配列(遺伝型)と機能(表現型)が対応づけられた分子システムをつくることで、生命システムの動作原理に迫ると同時に、人類がまだなし得ない「生体内の精密に制御された化学反応」を再現し、生命科学・物質科学・医学・情報科学をはじめ多くの分野に貢献することを目指しています。

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